僕の小鳥






















「そう言えば、どうして小鳥だったんですか?」

荷物の中の古く色を代えた木の小鳥を思い出して、アルは尋ねた。兄にも内緒で旅の間中ずっと持ち歩いていた小鳥は、一度も使ったことはなかったのにまるで使い込まれたような色をしていた。

子供が書いた絵のような形は愛らしくて、アルは兄が眠った後に一人で取り出しては眺めていた。

練成された形が小鳥だったことに、特に深い意味などないのだろうと思ったから、深い意味もなく聞いてみたのだが、アルを招き入れた時のまま、部屋のドアに寄りかかり腕を組む相手はしごく当然のように答えを返した。

「愛らしい声で歌うようにしゃべる君が、小鳥のようだったからだよ」

こともなげにそんなことを言う相手は、部屋に飾った絵を鑑賞するように執務室へ通したアルの姿を距離をとったまま眺めていた。

あれは自分だったのか。

小さな木の小鳥の愛らしさを思い返し、鋼の鎧の姿をしていた自分をこの人はそんな風に思っていたのだろうかと思って。

アルは人間の身体は少しだけ不便だとそう思いながら、耳まで真っ赤になった顔で俯いた。












04.4.24
人間アルの初書きがロイアルになるとは思ってもみませんでした!