エドロイTEXT10 |
我慢の限界 |
あんた、気持ち悪いぐらい肌とかつるつるだよな。 「仕事の内でね」 書類をめくる手元に伏せた目を上げないまま、大佐はさらりと答えた。 ソファに背を預け、組んだ足をテーブルにのせて、エドは「ふーん」と返した。仕事ね。 「どんな仕事だよ」 「軍事機密だ」 答える口元が、ゆるやかに口角を上げて笑う。薄い紙のめくれる音がして、無意識に指が口元へと動いた。エドに短い言葉を返しながら、意識の大半は目の前の仕事へと向けられていた。 戦場で人を殺すのも、机の上で報告書を読むのも仕事なら、身を美しくしておくのも仕事。 どこの、誰のために、と。 問い詰めたい。けれどそんな権利は持っていない。 エドはソファから立ち上がって、陽の差し込む窓辺へと近づいた。 目線を伏せて俯く顔の輪郭にそって生身のてのこうをすべらせ、唇に押し当てられた手袋の手をどける。 「しなよ、仕事」 見下ろす視線の先で赤い唇が開き、エドの指を咥えた。 そろそろ、こっちの我慢も限界だ。 |
04.6.9 独占したいけどできない。我慢してるけどそろそろ限界なエド。 |