【七夕企画】 お願い→ ★へたれ兄さんと妹アルのエドアル









○月×日

多少の手違いがあったとはいえ弟が生身の身体を取り戻したので、成長を記録するためにカメラを買ってきた。

「ちょっと、待って兄さん! 多少じゃないよ! おっきな間違いだよ!」

「兄ちゃんの日記のぞくなよ、アルのエッチー」

「なにそれ! だったら、わざわざ人の目の前に広げるな!」

かまってほしくてわざとらしく今は妹な弟の目の前にノートを広げた兄の意図にすっかりハマって、妹な弟は頬を膨らませた。

白い肌が紅潮してばら色になっていて、目じりの下がった大きな目が怒りにうっすらと滲んでキラキラしている。眉は寄り、口はへの字になって、ちょっと泣き出しそうにも見えて、怒ったアルの顔は大変可愛い。

ああ、怒ったアルの顔をさっそく写真に撮りたいなあ、と兄は思った。
何かを感じ取ったように、妹な弟の眉がぴくりと震えた。

「兄さん……、今、怒ったボクを写真にとりたいって思ってるでしょ……」

いつもの可愛らしい声を低くして、それでもやっぱり可愛い声が、エドを睨みながらそう言った。はっきり言って、ぜんぜん効いてないのだが、新品のカメラに伸びかけた手は次の言葉にぴたりと止まった。

「そんなことしたら、兄弟の縁切る」

「しない!ぜったいしない!!命に代えてもしないから!!!」

ばっと両手を挙げてぶんぶん首をふる兄を、妹な弟はまだ怒りが収まらない様子で疑うように睨んだ。

そんな警戒した顔も可愛いなあ、なんて。

もちろん兄はそんなこと考えているのだけれど、さすがにそこまでは、妹で弟なアルにもわからなかった。








END










04.7.15

☆七夕のお願いごと「へたれ兄さんと妹アルのエドアル」です。
妹である意味はどこにあるのかというと、ない…かも…。ちび○子ちゃんの、たまちゃんとお父さんの会話の二重パロなんです…。